プロローグ

森のことを考えれば。

かつて三隈川にイカダを浮かべた。
きこりめし弁当が生まれて、早9年。
ヤブクグリは弁当屋と思われるときがある。
間違ってはいないが、当たってもいない。
僕らは、ずっとこの国の森のことを考えていた。
ノンビリとね。
森というのは、山のことであり、川のことだった。
山や川に想いをめぐらすと、
土地の暮らしに目が向いていく。
暮らす人々とその日々へ。
そして、営みは経済と文化からできていることに
あらめて思い至る。
なかでも気になるのは、そのカタチやサイズ。
他にやり方はないのかなあ?
僕らはいま、森と経済と文化の新たなつながりを
考え始めている。
なんだかエラそうな話だけど。
みんなと、また一歩ずつ。

二○二一年 晩夏 ヤブクグリ プロデュース係 江副直樹


◎役員プロフィール …いい大人たち一覧

福岡宣伝係/伊藤 敬生(いとう たかお)
1962年長崎市生まれ。九州産業大学芸術学部教授。

浜まで徒歩3分にある福岡の自宅から、愛する能古島を毎日眺め、時に博多湾をカヤックで渡り暮らしている、自称「海彦アートディレクター」。牧野伊三夫氏とは30年来の友人。平成24年1月、牧野氏の森への思いに押され「山彦プロデューサー」江副直樹氏と牧野氏を繋いだ。海は山に育まれ、海はやがては空へと 昇り山へ帰っていく。そんな愛しい地球の循環と人間たちの軽快な連鎖がヤブクグリの元にあるものと考えている。

プロデュース係/江副 直樹(えぞえ なおき)
佐賀生まれ北九州育ち。商品開発と広報計画を柱とする事業プロデュースの会社、ブンボ株式会社代表。

40 余年の川の釣り師。春はヤマメのフライフィッシング。夏は鮎の友釣り。人生の最終目標は、綺麗な川で大きなヤマメと鮎をたくさん釣ること。そのためには、水を涵養する森と山の健全化が不可欠で、近年失われつつあるその豊かさを取り戻すべくヤブクグリに参加した。これを壮大なエゴという。12年の福岡県朝倉郡東峰村暮らしを経て、2013年より大分県日田市在住。福岡デザイン専門学校特任講師、大阪芸術大学デザイン科客員教授。

源流係/音成 葉子(おとなり ようこ)
大分県別府市生まれ九重町在住。フリーライター。

眼前に広がるくじゅう連山が筑後川の源流地であるこ とからヤブクグリ入会の際に「源流係でお願いします」と申込んだ。特技は赤子の頃より銭湯通いということもあってか、きき酒ならぬ、きき湯。肌で効能を感じとる。夢は全国各地の温泉をめぐり、地元の人 たちとお話すること。極度の緊張しいで人見知りだが、最初から裸の付き合いなら…。ヤブクグリ入会を機に林業のこと、木のことを少しずつ知るようになり、今の山暮らしがより深いものに感じている。林業の先行きは悩ましいが、日田での皆さんとの飲み会は楽しい。

名産品係/梶原道生(かじわらみちお)
1967年生まれ。大分県日田市天ケ瀬町出身。

僕の名前は、山奥の村に道が出来た年に生まれたから道生と命名された。こどもの頃は、山が遊び場でした。ナタを持って草木を切り分け道なき道を進むと見たことない景色が現れ面白かった。木をナタで削り工作も楽しかった。現在は、ナタが Mac のイラレに変わり、リブランディングデザインで潜ったり迷ったり削ったりしながら道なき道を楽しくなる方向に進めるデザインの仕事をしています。福岡市中央区在住。

建築屋さん係/上玉利 佳哉(かみたまり よしや)
1980年日田市生まれ。山とデザイン室代表。

建築設計事務所に勤務の頃、現場に届く木材がどこからやってくるのだろう?と気になり始めた時期、リベルテ原さんに誘われヤブクグリの宴に参加後入会、その後2015年に帰郷。林業会社や製材所の仕事に携わりながら、ツリーハウスの設計やバードハウスなどのモノづくりを 通して、山と人のより良い共存を考えるきっかけになればと活動。夢は、みんなで「ヤブクグリハウス」を建築すること。

事務局長・宿係/黒木 陽介(くろき ようすけ)
1977年大分県日田市生まれ。一般社団法人日田市観光協会事務局長。

根っからの日田っ子。ロックが好きで、中学校からドラムを叩き始める。高校卒業後、小さな旅行代理店、小さな広告代理店、小さな旅館支配人を経て、現職。森林率 83%の日田市は、林業の活性化が重要と考えヤブクグリの活動を行っている。また、田舎に、日本の宝が眠っているという事を信じ続けている今日この頃。

会長・林業係/合原 万貴(ごうばる まき)
1980年大分県日田市生まれ。日田市在住。

やたらに林業を楽しそうに語る母に惹かれ 2005年、マルマタ林業株式会社に入社。山林管理・伐採搬出計画づくり、段取り、事務処理を行いながら「山を見る目」を 養うべく修行中。最近やっと、スギの成長量の優秀さがわかってきた所。ヤブクグリと出会って、「こうあるべき」なところが外れて、もっと林業を楽しめるようになったと感じている。特技はいきなり片付け、模様替えを始めること。美味しいものを皆で楽しむこと。

おふろのフタ係/佐藤 栄輔(さとう えいすけ)
マルサク佐藤製材代表。8人家族 4人兄弟の末っ子として日田で育つ。

高校卒業後留学した米国で美術学修士号取得。18年間過ごした日田はもうおなかいっぱいで、帰るつもりなど全く無かったのだけど、紆余曲折あり 2001年に帰郷。以来、家業である製材業に従事している。家業を継続するという事以外の何か強いモチベーションを仕事に見いだしたくてヤブクグリに参加。絵画制作を細々ながら継続中。美術同人誌「四月と十月」同人。Gallery MoMo 所属作家

こよみ係/高山 香織(たかやま かおり)
1975年大分市生まれ。

宮崎市の大学で英文学を学んだ後、養護学校教諭、障がい者施設指導員、事務員、販売員、受付嬢など様々な業種を経験し、2006年より家業である株式会社高山活版社に勤務。好奇心旺盛なところと行動力だけが取り柄。ヤブクグリとのご縁は伊藤敬生さんが結んでくださり、2022年に入会。才能あふれるユニークなメンバーにいつもたくさんの刺激をもらい、目を白黒させながら勉強させてもらう日々。まだ趣味とも特技とも言えないが、2023年から習い始めた古楽器ビウエラの響きに癒されている。

林業係/田中 昇吾(たなか しょうご)
1976年 8月生まれ、大分県日田市出身。

54設立、国内最大規 模の国産材原木市場である、株式会社九州木材市場の代表取締役。杉、桧を中心に年間取扱量 12万立方以上。2013年に3代目代表取締役に就任。原木市場は、育林から原木販売までの素材生産を行い、原木丸太を販売する。

木工係/戸髙 晋輔(とだか しんすけ)
1968年大分県津久見市生まれ。海辺の町で育ち今は山のなかで家具を作っている。

ヤブクグリでは日田産の杉にこだわった各種椅子を製作。日田杉との出会いは十数年前に佐藤製材さんを訪ねたことから。 それからは杉で 椅子 テーブル 器 棚 箱 建具 家いろいろ作ってきた。作り手から見た杉の良さを伝えられたらと思っている。

名刺係/富田 光浩(とみた みつひろ)
1964年岐阜県大垣市生まれ。2011年(株)ONE 設立。牧野さんに「富田くんも日田に行こうよ!」と誘われ、気づくとみんなの名刺を作っていた。

最近は 2ヶ月以上、山のある所に行けないとムズムズして来るような体になってしまった。趣味は日曜日の夕方につまみと燗酒を準備して、4時から始まる大相撲のTV中継にピッタリ間に合わせること。東京都世田谷区在住。

広報係/原 茂樹(はら しげき)
映画館「日田リベルテ」代表。福岡で音楽活動などを行うも、2008年地元映画館の存続危機を知り、復館のため帰郷。

盆地であり山々の恵みを一手に引き受けた大河・三隈川が流れるこの町で文化の土を耕す毎日だが、最近では神社や教会みたいだと言われることがある。日田だからこそできることがある。森と人(暮らし)をつなぐ得体の知れない団体ヤブクグリに一番期待しているのは、ぼく自身なのかもしれない。

冊子係/牧野 伊三夫(まきの いさお)
1964年、北九州市生まれ。画家。きこりが仕事をする様子を描こうと日田へ旅したところ、なぜか観光協会の黒木君に市内の林業関連施設を案内されることになり、気づくと毎晩、日田人たちと酒を飲んでいた。

その後、日田通いがはじまったが、きこりの絵は、いまだ一枚も描いていない。著書に『牧野伊三夫 イラストレーションの仕事と体験記 1987-2019』、『アトリエ雑記』絵本『塩男』ほか。美術同人誌『四月と十月』発行管理人。北九州市情報誌『雲のうえ』編集委員。ヤブクグリ生活道具研究室製品企画担 当。東京都在住。日本文藝協会会員。








◎会則 …ゆるゆるのオキテ

一、人の悪口を言わないこと
一、お酒を無理にすすめないこと
一、学歴にこだわらないこと
一、貧富の差にこだわらないこと
一、ときどき自慢話をすること
一、成功・失敗は、全員で語る